2020年前後ごろのLenovo社製のノートPC端末でUSB-PDを利用した充電ができなくなるという症状を最近良く見ます。(n = 4、発生率75%)
手元端末のIdeaPad Flex 5でも1年前くらいに発生して困ったのですが、IdeaPad Flex 5は従来のDCジャック充電もできたのでDCジャックで充電していました。
廉価なIdeaPad以外にThinkPadでも同様の現象が発生し、ThinkPadはDCジャックが無いモデルだったためUSB-PD充電ができないと使い物にならないので現象解明を行いました。
現象
起きている現象はUSB PDで充電ができない状態だが給電はできるという状態です。
写真のようにUSB-PDのネゴシエーションは完了しており、20Vが出力されていますがバッテリーへの充電がされないのでノートPCが今使用する電力のみが給電されている状態です。
この状態だとノートPC上で消費される電力とUSB-PDで給電される電力の時間差で足りない電力はバッテリーから給電されるため徐々にバッテリー残量が削られていきます。
今回の記事で対処できる問題は充電できない状態でデバイスマネージャー上で「UCM-UCSI ACPIデバイス」がエラーを起こしている場合です。
UCM-UCSI ACPIデバイスは何でもかんでも受け入れるUSB Type-Cポートを制御するデバイスで、USB-PDの電力管理からホスト、デバイスの切り替え、Alt Modeの制御などType-Cポートの重要な機能を司っています。
USB-C Connector System Software Interface (UCSI) ドライバー - Windows drivers
(UCM-UCSI ACPIデバイスが正しく動作していない状態でなぜUSB-PDのネゴシエーションは完了し給電できるのか、普通のUSBデバイスは使えるのかは謎です。ドライバが正しく動作していない場合の緊急モード挙動なのでしょうか)
対処方法
- 「コントロールパネル」「の電源オプション」から「システム設定」で「高速スタートアップを有効にする」を無効にします。
- デバイスマネージャーの「UCM-UCSI ACPIデバイス」をアンインストールします。
- ノートPCをシャットダウンします。
- 電源アダプターを外します(USB-PDもDCジャックもどちらも)
- ノートPCの電源ボタンを10秒以上押し続けます。(途中で起動しようとしますが無視して10秒以上押し続けます)
以上を行い、ノートPCを起動してデバイスマネージャーでUSM-UCSI ACPIデバイスが正常に動作してるかを確認してください。 正常に動作していればUSB-PDで充電ができるようになります。
高速スタートアップは再度有効化しても問題ないですが、個人的感想ではWindowsのトラブル原因のベスト10に入るくらいの頻度で問題を引き起こすので無効化しておくことをオススメします。
USM-UCSI ACPIデバイスのドライバアンインストールは不要でいけるかもしれません。一部の端末ではこれを行わなくても修復できました。このあたりの検証は再度問題を起こす方法がないため検証がし辛くやった事をすべて記載しています。
USB-PDトリガーケーブル
おまけ話ですが、USB-PDでの充電ができない状態の時はUSB−PDトリガーケーブルを使いDCジャックからUSB-PD経由で充電していました。
これはUSB-PDのネゴシエーションで指定した電圧のみを要求してDCジャックの形で電力を供給するケーブルです。 メーカー保証は受けられませんが、非常に便利な製品でUSB-PD非対応時代のノートPCでも電圧さえ合えば利用できます。
今回LenovoのIdeaPad Flex 5で使用したトリガーケーブルは下記です。
またLet’s noteのRZ5では下記トリガーケーブルを使用しています。
Let’s noteは必要な電圧が16VなのでUSB-PD規格で出せる15Vとはあいませんが一応利用可能です。こちらは電圧があってないので万人にはオススメできませんが、自己責任で利用する場合いかがでしょうか。(大丈夫大丈夫1V位の差なら誤差でいけるはず)