今回の記事は下記記事の続きです。
令和5年最新版 自宅ネットワークまとめ
今回は10G回線導入に向けてどこの回線事業者と契約するか、宅内のルーターをどうするか検討します。なお最終的に10G回線を契約しなかったためこの記事はポエムです。
WAN側
WAN側を10G、光クロスに拡張したい理由として下記があります。
- 大量のデータをDropboxとS3に保存しており、そのデータのやり取りに時間が掛かる
- 10G-WANはロマン
- 光クロスって格好いい
- 独自に光回線を引いて良いと許可を貰ってるので行使したい
- マンション回線の総トラフィック8割くらいを占めている自信があり他の世帯への負荷削減
という理由です。なお、WAN側の光クロス移行は諸事情により撤回となるのですがいったん本記事ではWAN、LAN双方10G化する方向で話を進めていきます。
WAN側業者選定
さてどこの回線会社と契約するかですが、もし住所が関西であればeo光、東海であればコミュファ光あたりが第一候補になると思います。NTT回線よりは電力系回線の方が安定している印象で、実家ではeo光を長期契約していますが非常に安定している回線です。
しかし今回は関東なので電力系光は契約できません。そのため選択肢になるのは下記3会社になります。
- NURO
- au光
- NTT
NUROは昨年パケロス問題で話題になりましたが、それ以前は4年ほど利用しており非常に安定していました。またパケロス問題も最近は聞かなくなりましたので第一候補にしました。しかし今の住所では10G非提供とのことで脱落となりました。
つづいてau光ですがこちらも世間の評判は良いと思います。10Gの提供範囲も広くau光に心が傾きました。しかし詳細を見ていくと令和時代にもかかわらず「アップロード1日30GB制限」が設定されています。(※記事執筆時点の情報)
回線速度が理論値10Gbpsですので24秒で制限に到達します。普通の御家庭で上り30GBを使う事はあまりないとは思いますが、弊宅では月平均アップロードで1.5TB使用していますので日量50GBを超えます。これではau光は使えません。
以上によりNTT系等の回線しか選択肢が無くなりました。NTT回線を導入する場合はフレッツ光クロスを提供しているプロバイダーを探す必要があります。
複数社の中で目を引いたのが「en光」です。正直一般知名度はないですし評判の良いeo光にあやかろうとした新興企業かな?というのが第一印象でした。 ただ、内容を見てみると
- 工事費無料(実質無料ではなく本当に無料)
- 月額最安値の5445円
- IPv4 over IPv6でMAP-EとDS-Liteが選べる
- 固定IPが770円/月
- YAMAHA RTX1300 198,000円を115,000円で提供
など一般層というよりはご自宅にちょっとネットワーク機器が豊富にあるような人達に魅力ある内容です。とくにRTX1300が10万ちょいというのが非常に魅力です。ヤフオク中古価格と同等か少し安い金額で新品が買えます。
また過去の速度測定実績でも問題無く速度が出ていそうでした。(変なユーザーが多い分、家庭内の回線接続ボトルネックが少なく良い速度が余所より出やすいという可能性はある)
ちょうど普通の友人が10G回線が欲しいというのでありがたく人柱としてen光とRTX1300を契約してもらいました。
とくに悲鳴は聞こえてこないので問題ないものと思っています。今回はen光に決めました。
ルーター選定
続いてLAN側の設備について検討します。
YAMAHA RTX1300
RTX1300 特長
先ほど述べたとおりen光であればRTX1300が安く購入できます。現在使っているのもYAMAHAのRTX1200なので更新機材として順当です。
ただ安いと言っても11万円ほどかかり個人宅の機材としては中々の出費です……
しかし値段に見合った安定性、そして日本のNTTに最適化されておりIPv4 over IPv6関連も安定しています。
10GポートはRJ45とSFP+両方を2ポートずつ搭載しており、どちらを使うか選択が可能です。10GのRJ45は発熱が酷く、安い機材の場合、熱でやられることも多いです。そのため宅内ではSFP+を使う予定でした。しかしWAN側はNTTの機材側がRJ45のため、SFP+を使うと光変換が必要になります。RTX1300は両対応のコンボポートですのでWAN側はRJ45、LAN側はSFP+という構成が可能で魅力的です。
Ubiquiti Dream Machine Pro
Dream Machine Pro - Ubiquitiストア
UbiquitiのDream Machine Proは10G対応のルーターです。定価はRTX1300の半額以下の7万円程度です。
正直なところUbiquitiというネットワーク機器メーカーは最近まで知らず読み方すらわからない謎のメーカーでした。 ここ1年程度日本向けを強化しはじめたのかネットワーク系インフルエンサーに無償提供を始め、知名度を上げているようです。 私もうんちゃまさんの生配信で存在を知りました。
Ubiqitiの特徴は安さ、UIの格好良さ、UXの良さ3点が目立ちます。とくにセットアップにはCUIが一切不要で非エンジニア部署でも運用ができるように作られています。
詳細は今後の記事で書くとして割愛しますが、スマホ1台あればセットアップが完了します。まるでApple製品のような簡単さ、そして美しさを備えています。
ハードウェア側を見ると1GのRJ45が8ポート、10GのSFP+が2ポート搭載されています。RTX1300と比べると10Gがコンボポートでない点がマイナスでしょうか。
また日本仕様への最適化が甘く、IPv4 over IPv6周りは現在利用できません。一応今後アップデートでの対応予定はあるそうです。
ちなみにシリーズでDream Machine Special Editionという上位版も存在します。こちらは9万円程度でWAN側のRJ45ポートが2.5bps対応。LAN側がPoE対応6ポート、PoE+対応2ポートとなっています。
Ubiquiti社製のAPはPoE給電で動作するのでAPの数によってはこちらの方が良いかもしれません。
中華製の謎のルーター構築PC R86S
最後に中華製の謎のルーター構築用PCを紹介します。 R86SはSFP+を2ポート、2.5GbpsのRJ45を3ポート搭載した謎のルーター構築用PCです。価格はAliexpressで5万円程度です。
詳細は下記のPC Watchさん記事を参照してください。
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubuntu/1505568.html
最安価格だけでみるとこれが激安。自分で適当なルーターOSを入れれば自分の技量次第でなんでも対応できます。LAN側のRJ45ポートが少ないのが難点ですが、どうせ前述の機材を購入しても8ポートでは足りないのでスイッチをぶら下げますから私にはデメリットになりません。
最終的にR86Sを見送った理由は自分の技量の心配でした。メインのルーターでこれが死ぬと仕事になりません。また旅行中も家のネットワークが健康なことを前提にワークフローが組まれているためそこに信頼の置けない技術力の人間が構築したシステムを配置したくありません。
まとめ
ほかに似たようなCiscoやアライドテレシス製品も検討しましたがヤフオクでの価格を見て検討に上がりませんでした。とくにSFP+のモジュールを使うのでベンダーロックされてそうなCiscoは選択しづらいというのもありました。
というわけでYAMAHA RTX1300かUbiquiti Dream Machine Proのどちらかの一騎打ちになりました。
一騎打ちの結果、選ばれたのはUbiquiti Dream Machine Proでした。やはり安い価格は強いです。 またUIの格好良さも魅力的でした。正直ダッシュボードなんてそんな見ないのでいくらUIが良いと言ってもそのメリットは一瞬なのですがそれでも格好いいは正義なのです。
ただ、Ubiqiti製品を選ぶということはIPv4 over IPv6が使えないということです。これは大きなデメリットです。しかし、解決策はないわけではありません。解決策は簡単でUbiqitiルーターの前にNTTのレンタルルーターであるXG-100NEを置くだけです。多重NATになりますがNTTルーター側でIPv4 over IPv6してくれます。レンタルルーターは月500円なのでUbiqiti側がアップデートして対応すれば解約できます。
動作保証されている正常系環境がない場合、トラブルが起きても切り分けが大変です。そういう意味でも導入序盤に絶対に動作するNTT製ルーターが手元にあるのは便利です。
というわけでUbiqiti Dream Machine Proを購入しました。次回は実際に使ってみた感想を書きたいと思います。