最近、旧Twitterで広告を見ると無料で使える謎の海外eSIM『Firsty』が話題になっているのを見かけました。
海外のeSIMサービスということで日本ではローミングで利用することになりますが、ローミング先がdocomo、au、SoftBank、楽天モバイルとすべてのキャリアに対応しています。
これはおもしろいということで試して見ることにしました。
世の中には海外eSIMといえばプロモーション記事が溢れていますが、本記事は完全に趣味で書いています。
無料プランテスト
とりあえずiPadに入れて試してみます。
App StoreからアプリをDLしてサインアップします。Apple ID、Googleアカウント、電話番号認証でアカウント作成が可能です。 1アカウント1eSIM発行のようなので複数端末で利用する場合は注意が必要です。
初期設定が大変わかりやすく、とくにPinPで操作マニュアルを再生しながら設定画面に遷移するUXはとても良いですね。参考にしたい。色々と使い方に関しての質問がありますがプラン選択は任意でできるので適当に解答すれば良いです。
今回は広告視聴だけで使えるFreeを選択します。その後に数十秒の広告が流れるのでこれで準備完了です。もちろん広告視聴のパケットは無料なのでWiFi環境がない場合でも視聴可能です。
32kbpsというダイヤルアップ以下の速度ですがちゃんと繋がっています。無料で繋がるだけでありがたい話です。Google Mapsなども快適とは言えませんが利用は可能なので海外でも安心です。
キャリア切り替え
前述のとおり、このSIMカードは4キャリアすべてにローミング可能です。基本はOS側が自動でキャリア選択を行いますが設定画面から任意に設定可能です。
設定>モバイル通信>SIMで先ほど追加したFirstyのSIMを選択します。その中のネットワーク選択に入り自動のトグルをオフにします。そうすると周辺で飛んでいる電波一覧が出てくるので任意のキャリアを選択します。
接続できればアンテナピクトが立ちます。接続できない場合は圏外表示になるので他の電波に切り替えてみてください。
ネットワーク選択自動の時の挙動
自動に設定しておけば通信中のキャリアが圏外になったときは他に電波が繋がるキャリアに自動切り替えされます。電波強度が悪い地方などでは自動の方が快適だと思います。反対に都市部の場合は圏外ではないがユーザーが多すぎて通信できないという状況が多いです。この場合は電波はある状態なので切り替えされません。なので都市部ではauやSoftBankなどに固定しておき、地下で通信できない場合は切り替えるなどの運用が良いかと思います。
有料プランレビュー
ここから外でテストするためiPhoneでテストします。
続いて有料ファーストクラスプランを試してみます。有料プランは国によって値段が違いますが日本だと3.5ユーロで1日利用可能です。ファーストクラスプランであればテザリングも可能です。
有料プランであれば速度も申し分ないですね。今回の検証ではSoftBankに固定していますが、安定して100Mbps以上出ています。 Pingは100msecくらいで想像より悪くありません。オランダの通信会社ということで日本とヨーロッパを往復して1000msecくらいを覚悟していました。
通信経路などをみるとシンガポールが出口になっているようです。アジア圏の通信はシンガポールでまとめているのでしょうか。おかげで100msecと一昔前の3G通信程度の遅延で収まっており一般的な通信であればあまり遅延を感じません。
SSHなどでは文字入力の反映が少し遅いなと感じましたが作業自体には問題ありあませんでした。
注意点としては国際ローミング状態でシンガポールのIPアドレスになるので日本国内アクセス前提のサービスは利用できません。VODなどでは国制限されていることが多いので注意が必要です。 JRE Pointなどではログインすらさせて貰えないので電車移動でJRE Pointを利用する際などには注意が必要です。(JRさん各社、海外からクレカの不正利用で大変な目にあってるので仕方がない……)
通信容量と海外利用
通信容量に関しては具体的な数字が書かれてなかったため検証してみました。5GBを超えると制限がかかりました。しかし低速通信はできており、追加課金すると再度高速通信にできるようです。
海外ローミングで5GB/3.5ユーロは非常に安価だと思います。たとえば楽天モバイルでは1GB500円です。povoの海外版では国によって価格差はありますが1GB700円前後です。 他の海外eSIMサービスだとAiraloなどが1GB4.5ドルです。単純な比較でもFirstyの安さが目立ちます。
比較の注意点としてはFirstyは国ごとに課金のため、同日に複数カ国で利用するためには追加費用が必要です。 楽天モバイルは対象国であれば容量は合算、追加容量の期限も1か月あるので複数カ国訪れるのであればコスパが良いですね。 povoは個別国、グローバルで別トッピングになっています。あまり費用的なメリットは見出せないですが非常用に入れておけば月額0円運用ができる点がメリットでしょうか。(それもFirstyにあるメリットなのであまり優位性はないかもしれないです)
国内通信容量
今度は国内に絞って通信容量を比較してみましょう。 国内と考えればpovoのコスパが圧倒的です。330円で24時間使い放題なのでFirstyより200円ほど安いです。povoと比較してFirstyのメリットは長期放置しても解約されない、4キャリア利用可能というところでしょうか。
mineoなども既存プランに24時間使い放題を追加できるので良いですが、月次契約が必要なので同じ土俵には立たせづらいです。SoftBankのデータプランも同じくです。
なので利用頻度が極端に少ないか4キャリア利用に魅力を感じるのであればpovoよりFirstyという選択になります。
iPhoneでの注意点
iPadと比べてiPhoneで利用する場合は追加の注意点が必要です。iPadではアンテナピクトやネットワーク設定に各キャリアの名前がでていたのですがiPhoneではすべてFirstyになってしまっています。なのでネットワーク設定から任意のキャリアを選択するのにコツがいります。
適当にキャリアを選択して繋がったらIP確認しにいったり裏コマンドでPLMN番号を確認します。
裏コマンドは電話アプリで「3001#12345#」に電話を発信すると接続している周波数帯やキャリアを見る事ができます。今回のPLMN番号は44010です。
それを上記総務省のサイトで確認すると44010は「株式会社NTTドコモ」になっていますのでdocomoの回線を使っているのがわかります。 iPhoneだと使いづらいですがこのような方法で一応キャリアの手動で切り替えができます。
まとめ
eSIM対応端末が一般化しさまざまなeSIMサービスが増えてきました。これまでの物理SIMカードだと通信事業を行うには流通を考える必要がありました。それがeSIMですとデジタル空間で完結するため不要なコストが削減され今後もこのような無料サービスなどが増えて楽しい時代になりそうです。